一つの作品で見積ってみましょう。

作品:「椿」 サイズ F 12 (60.6X50.0cm) 油彩 キャンバス 作者不詳
・作品は冠水による損傷が甚大である。
・キャンバスは水の影響で弾力性を失っている。釘は錆び始めている。
・木枠も含め裏面全体が汚れているが木枠は再使用可能。
・麻布平織りに水溶性の白色地塗りが施されていて、絵具は地塗りと共に広範囲にわたり剥落しており、
剥落箇所はキャンバスの地肌が見えている。
・絵具層は一見厚塗りに見えるが、下層に別の絵が描かれていて、その上に塗り重ねたものと思われる。
・画面上の汚れはひどく本来の色調を失っているが、洗浄する事により色調を取り戻す事は可能である。
・ワニスは塗布されていない。
・過去の修復歴はない。
<修復処理>
1。画面の汚れの除去と部分的剥離止め。
2。 作業中の画面保護のために表打ちを施す。
3。木枠から作品を外し、作業中のキャンバスの変形防止処置を施す。
4。裏面を掃除する。
5。キャンバス裏面より合成樹脂系接着剤を含侵させ」、温圧により絵具層を定着させる。
6。キャンバスを補強するため裏打ちを行う。
7。表打ちを除去すると同時に、画面の洗浄を行う。
8。元の木枠に張り戻す。
9。絵具の損傷箇所にジェッソを充填し表面を整形する。
10。ジェッソを充填した部分を補彩する。
11。新しくワニスを塗布する。